犬のトリミングがストレスに?「触らせてくれない」行動からケアを見直した体験談

捉え方

手先を触ろうとするとサッと引く。
顔まわりに手を伸ばすと身を素早く引く。
抱えられるのを逃げて嫌がる。

そんな「触らせてくれない」行動の背景に、これまでの経験が関係しているとしたら?

そんな可能性を考えるようになってから、ケアそのものだけでなく、
“ 安心を育てる時間 ” にも目を向けるようになりました。

トリミングは、きれいにしてもらうための大切なケア。
だからこそ、
ケアの前に、愛犬が安心できる土台をつくることにも価値があると気づいていった、我が家の体験談です。

トリミングが愛犬の行動に影響していたかもしれないと気づいたきっかけ

「何も問題ない」と思っていた我が家のトリミング

これまで私は、
「犬は順応性が高いから、通っていればそのうち慣れる」
そう思っていました。

実際に、少しずつ慣れて平気になっていくコもいると思います。

でも、見た目には大人しくできていても、その内側で不安や緊張を抱えながら、ただ我慢を重ねていたとしたら……。

飼い主にとっては些細なこと。
良かれと思って続けていたこと。

その裏側にある愛犬の気持ちまでを想像して、見えてきたものがあったのです。

まだまだ吠えと突進に困り果てていた頃、つないでいただいたグルーマーさんから、
「トリミングの翌日や翌々日に、行動へ影響が出ることもあるのよ」
と、教えて頂きました。

その言葉を聞いたとき、私の中にはまず、
「……なぜ?」
という疑問が浮かびました。

犬好きの優しいトリマーさんにきれいにしてもらい、
「今日もいいコでしたよ〜」
と声をかけてもらって、しっぽをブンブン振りながら、ふわふわになって帰ってくる。

私には、それがとても微笑ましい光景に見えていたからです。

「 何も問題ない 」
そう、私は思っていたのです。

でも話を聞くうちに、少しずつ捉え方が変わっていき、
そこで初めて、愛犬の立場から想像してみることをしたのです。

トリミングがなぜ必要なのか分からないまま、慣れない場所に預けられ、これから何をされるのかも分からない。

そんなふうに感じていたとしたら。
私が思っていた以上に、不安や緊張を抱えていた可能性もあったのだと思います。

そう考えるようになってから、私は日常の中にあった愛犬の様子も思い返すようになりました。

手先に触れようとすると、少し手を引く。
顔まわりに手を伸ばすと、サッと身を引く。
抱えられたり、動きを制限されたりすることを嫌がる。

以前の私は、そうした反応を
「触られるのが苦手なコなんだ」
「嫌がりやすい性格なのかな」
と、そのコ自身の特徴として見ていました。

でも今は、これまでのケアの中で、嫌でも動けなかったことや、我慢してやり過ごした経験が積み重なっていた可能性もあるのではないか、と考えるようになりました。

もちろん、すべての理由がトリミングにあるとは思っていません。
それでも、日常の何気ない「触らせてくれない」という行動の背景に、ケアでの経験が影響していることもあるのかもしれない。

そう想像できるようになったことで、
「どうしたら、安心を感じてもらえるだろう」
と考えるようになりました。

愛犬の心の中まで想像したことがなかった

思い返せば
トリミング台の上で不安そうな愛犬の様子を見て
“ かわいいな ”と思った記憶がありました。

その時の愛犬の心の中まで想像したことがなかったな…。

言葉が通じない世界に自分を置いて想像してみた。

何をされているか理解できないまま、
イヤっ!と手を引いても握り返されて離してもらえない。
行動範囲も制限されている。
見慣れない鋭利な道具が近づいてくる。
待機中閉じ込められる慣れない空間。

怖がりな我が家の愛犬目線に視点を変えて想像してみたことで、
ようやく、トリマーさんが優しいかどうかだけではなく、
愛犬がその時間をどう感じているかを見ることも大切なのだと気づきました。

不安な経験が繰り返されれば、緊張が積み重なり、その後の日常の行動にも影響していた可能性があるかも知れない。

飼い主の私にとっては「良かれと思っていたこと」でも、愛犬はどう感じていたのだろう。
その裏側まで想像するようになったことは、困った行動への向き合い方が変わる、大きなきっかけになりました。

愛犬の小さな「嫌だよ」に気づいて変わったこと

「慣れる時間」「仲良くなる時間」にも意味がある

いまでは、トリミングそのものをしない「慣れる時間」や、スタッフさんと遊んだり一緒に過ごしたりする「仲良くなる時間」にも、きちんと意味があるのだと分かります。

以前の私なら、
「今日は何もしていないのに料金がかかるの?」
と思っていたかもしれません。

でも今は、言葉を交わせない愛犬に「ここは大丈夫だよ」と安心を伝えていくための、とても大切な時間なのだと思っています。

ケアを始める前に、場所や人への安心を少しずつ育てていく。
その時間があることで、その後のトリミングそのものの負担も変わってくるのだと感じています。

我が家が、歯磨きや爪切りを通して「愛犬との対話」を考えるようになったきっかけのひとつが、安心してケアを受ける為のハズバンダリートレーニングでした。
その経験については、こちらの記事にまとめています。

▶ 犬のハズバンダリートレーニング|歯磨き・爪切りから気づいた「愛犬との対話」

小さな「嫌だよ」に気づくと、見えるものが変わった

愛犬は、トリミング中に噛んだり暴れたり、
何か問題があったわけではなかったけれど、
以前お願いしていたトリマーさんに、こう聞いてみました。

「うちのコ、嫌そうな行動って何か出てましたか?些細なことでも。」

すると、
「順番がきてケージから出そうとすると、奥に奥に逃げて小さくなるかも。」
と教えてもらいました。

その話を聞いたとき、家で愛犬に触れようと手を伸ばすとサッと身をかわす姿と、
初めて一本につながった気がしました。

あの行動も、ただ「触られるのが苦手」なのではなく、
「嫌だよ」
と伝えていたのかもしれない。

もしそのまま同じ経験を重ねていたら。
もっと強い回避行動になっていたかも知れないし、
嫌だな…を抱え続けていたかも知れない。

捉え方を少しずつ変えていただけたことで、
見えるものがまったく別の世界へと変わっていった感覚を覚えています。

噛む・暴れる・吠えるを「そのコの問題」だけで見なくなった

噛む、暴れる、吠える。
以前の私は、そうした行動を見ると「そのコに問題があるのかな」と考えていました。

でも今は、そこに「嫌だよ」「怖いよ」「やめてよ」という気持ちが含まれていることもあるのだと考えるようになりました。

もちろん理由はひとつではないと思います。
それでも、人側の関わり方や環境によって、その行動を強めてしまっている可能性はないか。
犬の行動だけを変えようとするのではなく、飼い主の私が見直せるところがあるのではないか。

そこまで想像するようになったことで、私の見方は大きく変わっていき、
いろいろなことがとても腑に落ちたのです。

ケアの「当たり前」を見直してみて

「定期的にするもの」だと思っていた肛門腺しぼりを見直してみた

トリミングメニューの中にある肛門腺しぼり。
それをメニューに入れていないというサロンさんと出会いました。
「うちでは行いません」と、はっきりお話しされていました。

我が家では数ヶ月に一度は当たり前に行っていたのですが、
「そもそも、なぜ毎回当たり前のように行っているんだろう?」

ラグやソファーにこすりつけられたら、飼い主の私が困るから?
そんなことから始まったのかも知れない。私の想像なのですが。

我が家はそれから思い切ってやめてみました。
一度、アクシデントがあったり、
当たり前にしてきたことをやめる事に
不安になったりしたものの、

「本当に今必要か」を考えながら対応するようになりました。
結果として数年間大きな問題は起きていません。ですが、これはあくまで我が家の経験です。

人間目線の当たり前を、受け入れて頑張ってくれていた愛犬。
ほんとうに、なんて優しいんだろう。

これまでの過程で
そんな思いが幾度となく湧いています。

もし愛犬を迎えたあの日に戻れるなら

私自身、ここまで捉え方が変わるまでに時間がかかりました。

だって、みんながやっている「当たり前」で、私も良かれと思って続けていたことだったから。

でも今は、ケアそのものだけでなく、そこに至るまでの安心を育てる時間にも、大きな意味があるのだと感じ理解できるようになりました。

愛犬の負担を減らしながらケアできる選択肢や、そうした時間を大切にしてくれる専門家の存在が、もっと多くの飼い主さんに知られていったら嬉しいです。

もし、愛犬を迎えたあの日に戻れるなら、
「トリミングで思い通りのスタイルにしてもらう」ことより、

まずは愛犬の小さな「何だか嫌だな」を知るところから始めたい。
必要なケアだからこそ、できるだけ安心して受けられる方法を一緒に探していきたい。
今の私なら、そう考えるだろうと思います。

もし、困っているお友だちがいたら、その飼い主さんまで届くよう
広く広まるといいよね。

ママが困り果てて気づいたことで、困っていた私たちの心の負担が軽くなり、トリミングだって、楽しくなって、何でもない、大丈夫じゃん!ってなれたよね。

この記事は、我が家の経験を通して変わっていった、ひとりの飼い主としての捉え方を書いています。
愛犬がケアの時間をどう感じているのか、少し想像してみるきっかけになれば嬉しいです。

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