犬のハズバンダリートレーニング|歯磨き・爪切りから見つけた愛犬との「対話術」

犬育て

今回は「ハズバンダリートレーニング」のおはなしです。

ハズバンダリートレーニングは、歯磨きや爪切り、トリミング、病院でのケアなどを、愛犬の様子を見ながら少しずつ受け入れられるように進めていく取り組みです。

「トリミングや病院、うちのコは大人しくできているから大丈夫。」

かつての私は、そう思っていました。

でも、愛犬のケアや関わり方について学び実践する中で、見た目では同じように「大人しく」していても、安心しているのか、我慢しているのか、その内側はまったく違うと気づきました。

そしてハズバンダリートレーニングを通して得た「愛犬との対話」を、爪切りだけでなく日々の関わりにも広げていくことで、困りごとの改善にもつながっていったと感じています。

そんな関わり方に気づいていった過程を、我が家の失敗や試行錯誤を交えて綴ります。

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ハズバンダリートレーニングを知って気づいた、愛犬の「沈黙の我慢」

ハズバンダリートレーニングとの出会い

科学的根拠に基づくポジティブな犬のトレーニングを1年ほど続ける中で、
「ハズバンダリー」という言葉を耳にするようになりました。
当時の私は、

「 ハズバンダリー??? 」

というくらい、まったく知らない世界でした。

トリミングや受診、爪切りなど、生涯続いていくケアを、愛犬の様子を見ながら少しずつ受け入れられる形へ整えていく。

当時は、そんな「ケア全般に使うトレーニング」という理解から始まりました。

動きを制限したままケアを進めるのではなく、犬自身が自由に動ける環境の中で、生涯続くケアが「ただ我慢する時間」にならないようにする。

そこには、犬の気持ちへの温かい配慮がたくさん込められていました。

我が家の愛犬は、それまでのトリミングや病院の受診は大人しくできていたので、何も問題ないと思っていたのですが。

捉え方が変わり、様子を観察してみると
好きではなかったこと、愛犬の我慢で成立していたこと、

大人しくできているように見えていたその姿が、実は愛犬の “沈黙の我慢” であり、怖がりな愛犬にとって心の負担になっていたのかもしれないと気づきました。

この経験については、こちらの記事に詳しく書いています。
 犬のトリミングがストレスに?「触らせてくれない」行動からケアを見直した体験談

そして自宅近くにハズバンダリーを取り入れているサロンがあると知り
トリミング方法を見直すことにしたのです。

初めての来店でカットもシャンプーもしない。
昔の私なら「何のための時間と費用?」と、想像すらできなかった進め方です。

でも、愛犬の目線で考えれば、突然知らない場所で始まる特別なケアこそ、「何をされるの?」という不安の塊だったのかもしれません。

少しずつ心を通わせながら、愛犬にとって「頑張らなくてもいい場所」に変えていく。

ハズバンダリーは、とても優しくて素敵な技術だと思うのです。

これまでの経験から、この頃の愛犬は人に対しての警戒がピークに達していたため、
専門家の方々に指導と協力を頂きながら、
我が家の場合、爪切りやトリミングは飼い主が行えるようになる練習を重ねることにしました。
怖がりな愛犬にとって、この選択は、
困った行動の改善につながったことのひとつだと感じています。

トリマーさんたちは、犬たちの「嫌だよ」というサインを受け止めながら、上手にケアを進める技術を持っています。

それでも、小さな「嫌だよ」に立ち止まり、その声を聞き入れながら対話するように施術してくださるところは、まだ多くはないように感じています。

小さな「嫌だよ」を重ねた先で、もし我慢が限界を超えてしまったら。

「これ以上、うちでは受け入れが難しいです」
というような状況になってしまったら、
行き場をなくしてしまうことがあるかも知れません。

だからこそ今の私は、できるだけ小さなうちに気づくこと、予防することが大切なのだと思うようになりました。

困った行動は、そのコだけの問題ではなく、もしかすると人側の関わり方によって引き出してしまっていることもあるのかもしれない。

そんなふうに、飼い主である私自身の関わり方を想像し、考えるきっかけにもなりました。

すでに成功していた「歯磨き練習」の正体

まだ犬のトレーニングについて学び始める前、
とても親切なフォロワーさんに、歯磨きに慣れていくための手順やコツを教えていただいたことがありました。

当時の愛犬は、指で前歯に触れることさえ嫌がっていたので、
歯ブラシを使って磨くなんて、とても想像できない状態でした。

その状態から少しずつ進めていき、今では歯ブラシを使って、歯の側面も内側も磨くことができるようになっています。

そして、ハズバンダリートレーニングを知ったあとに振り返ってみると、
「あの歯磨き練習も、私たちなりのハズバンダリートレーニングだったんだ」
と気づきました。

愛犬の様子を見ながら、できるところを探して少しずつ進めていた。
それは、私が初めて経験した「愛犬との対話」だったのだと思います。

やり方(スキル)だけではうまくいかなかったこと

専門用語や、やり方の正しさよりも大切な「日常の観察」

ハズバンダリートレーニングを学ぶ中で、「般化」や「弁別」といった専門用語も知りました。

最初は、聞き慣れない言葉ばかりで難しく感じたのを覚えています。

でも我が家にとって大切だったのは、専門用語をきちんと覚えることよりも、

「場所や道具が変わっても、愛犬には同じこととして伝わっているかな?」
「今、このコはどう感じているかな?」

と、日常の中で様子を見ることでした。

必死に正しいやり方を覚えて、愛犬の行動を変えようとすることではなく、
愛犬との対話を重ねた結果として、少しずつ行動にも変化が現れていく。
私が目指したかったのは、そんな関わり方だったのだと思っています。

爪切り練習で見つけた「教科書通り」じゃない我が家の落とし所

ハズバンダリートレーニングを学び始めた頃の私は、

「愛犬が苦手な爪切りを、自宅でできるようになりたい!」

その思いでいっぱいでした。

教わった通りに少しずつ進め、教わった通りの「形」を作っていく。
時間はかかりましたが、一度は爪切りができるようになったのです。

「形通りにできた!すごい!」

そう思ったのも束の間。

実際は、また振り出しに戻ったり、回避する様子が増えたりして、「爪切りができるようになった」とは、とても言い切れない状態が続きました。

上手くいかない。
できた。
やっぱりできない。

それを繰り返すうちに、わざわざ練習時間を設けること自体が、私にとっても少しずつ負担になっていきました。

頑張っているのに思うような結果につながらない。
そんな時期が、しばらく続いたのです。

そのためいつからか、私は「爪切りの練習時間」を設けることをやめていたのを覚えています。

今振り返ると、あの頃の私は、教わった方法を守ることや、「爪切りができる」という自分の思い描いた形に近づけることに意識が向きすぎていたのだと思います。

愛犬の様子を見ているつもりでも、

「ここまでできるようになってほしい」

という私の思いの方が、少し先を歩いていました。

この頃から、
すでに無理なくできるようになっていた歯磨きの時間に、
ほんの少しだけ爪切りにつながる小さなことを混ぜてみることにしました。

その日の様子を見ながら、本当に、本当に少しずつ。

「爪切りの練習をする時間」ではなく、普段の暮らしの中で、私にも愛犬にも負担にならないペースを探していきました。

そうしているうちに、いつからか、いつの間にか…
今では私の膝の上で爪切りができるようになっています。

そこでようやく、
愛犬との関わりは、教科書通りの形で進めることではなく、
我が家に合った形を愛犬と対話しながら確立していくものなのだと確信が持てる経験になりました。

たくさんの専門家の方の発信をヒントにしながら、うまくいかなければ見直し、また試してみる。
その繰り返しの中で、私たちなりの「落とし所」が少しずつ見つかっていったのだと思います。

爪切りで得た「対話」が、外での吠えを見る視点も変えていった

相手を変える「誘導」から、愛犬が納得できる「対話」へ

ハズバンダリーを知って、自分でトレーニングを始めた頃。
私のアプローチは、どこか「 誘導=押し付け 」になっていたのかも知れません。
それは、やり方の正しさだけを追い求めて陥った失敗でした。

褒めたり、ご褒美を使ったり、できるだけ優しく進めていたつもりでした。
それでも、その根底には、

「ここまでできるようになってほしい」
「この形まで進めたい」

という、飼い主側の思いがありました。
やり方そのものは穏やかでも、私の中にある「こうしてほしい」が強ければ、知らず知らずのうちに愛犬をこちらの望む形へ導こうとしてしまう。

その小さな違いが、愛犬への伝わり方を変えていたのかもしれないと気づいたのです。

大切だったのは、決めた形まで進めることではなく、

「ここまでなら大丈夫?」
「今日はどうかな?」

と、その都度愛犬の様子を見ながら進めることでした。

飼い主の要望に頑張って応えてくれたのか。
それとも、愛犬自身が「これなら大丈夫かも」と感じ、納得して受け入れてくれたのか。

見た目には同じようにできていても、その違いはとても大きかったのだと思います。

爪切りでは、あえて「トレーニングの時間」を作ることをやめました。
日常の関わりの中で足先に触れ、そこに不安が減ってきたら爪先に触れてみる。それも大丈夫そうなら、少しカリカリしてみる。

その日の愛犬の様子に合わせながら、少しずつ。

時間を用意してトレーニングとして意識して行うより、
日々の暮らしの中で、より自然に溶け込ませたやり取りを重ねていくことで、
愛犬の不安や警戒が少しずつほどけていく様子を感じられるようになりました。とても微笑ましく嬉しかったです。

そして、
爪切りのハードルが高かったのは愛犬だけではありません。
素人の私も同じでした。
互いが、ドキドキせずに進められるよう、
散歩の後に、紙やすりでカリカリ爪とぎを取り入れたり、
爪用のヤスリを使用したり、
別の方法も活用することで私自身の緊張が減り、
結果、愛犬も安心して委ねてくれるようになりました。

愛犬だけを変えようとするのではなく、私の関わり方や方法も変えてみる。

「できるように導く」ことより、愛犬が「これなら大丈夫かも」と納得できるところを一緒に探していく。

それが、私にとっての「愛犬との対話」になっていきました。

すべてのトレーニングに共通すると思う理由

こうして爪切りが少しずつ形になり、自宅でもできるようになったことで、
あるときふと、

「これって爪切りだけの話ではないのかもしれない」

そう思うようになりました。

ハズバンダリーで繰り返してきた、愛犬の様子を見ること。
苦手や不安がどこにあるのかを考えること。

無理に先へ進めず、そのコが「これなら大丈夫かも」と思えるところを探していくこと。

そして、うまくいかなければ愛犬を変えようとするのではなく、
こちらの関わり方や環境を見直してみること。

こうした「愛犬との対話」を重ねる進め方は、爪切りだけでなく、私が感じていたさまざまな困りごとにも共通するものだと気づきました。

以前の私は、困った行動が出ると、

「どうしたらやめさせられるだろう」
「どう伝えればできるようになるだろう」

と、行動そのものを変える方法を探していました。

その方法が、叱るものから褒めるものへ変わったとしても、
根底にあるのが、

「こうしてほしい」
「できるようになってほしい」

という飼い主側の思いのままだったら。

私の場合は、知らず知らずのうちに、愛犬をこちらの望む方向へ
「誘導」しようとしていたから、うまくいかなかった部分もあったのかもしれません。

ハズバンダリートレーニングを通して得た「 愛犬との対話 」は、
爪切りだけに限らず、愛犬との関わり全体に共通するものだった。

そして、この考え方を外での吠え改善にも取り入れていったことで、ずっと足踏みしていた「あとちょっと……」の壁を、ようやく越えることができました。

爪切り練習の中で出会った、猫壱の『これすごい!』

ハズバンダリートレーニングを知ったことをきっかけに、自宅での爪切り練習を始めた我が家。

よくあるギロチンタイプやニッパータイプなど、いくつかの道具を試してきました。

黒くて太い愛犬の爪を切るのは、素人飼い主の私にとってなかなか緊張するもの。

「ちゃんと切らなくちゃ」
「深く切りすぎたらどうしよう」

そんな私の緊張も、きっと愛犬には伝わっていたと思います。

そんな中で出会ったのが、なんと猫用の**「猫壱」の爪切り**でした。

初めて使ったときの感想は、

「これ、すごい!!!」

でした。

一番驚いたのは、切れ味の良さ。

それまで感じていた、爪を切る瞬間の「パチン!」という衝撃のような感覚がとても少なく、スッと刃が入るように感じました。

そのおかげで私自身の緊張がほどけ、私が構えなくなると、愛犬のドキドキも少し減ったように感じました。

猫用の商品ですが、黒くて太い愛犬の爪を一度に大きく切ろうとはせず、爪の角を少しずつ落とすように、数回に分けてカットしています。

一気に「パチン!」と切らない。

このやり方も、私と愛犬のどちらにとっても負担を小さくするポイントになりました。

もちろん、この爪切りに変えただけで、突然すべてがうまくいったわけではありません。

でも、

道具が変わることで飼い主の緊張が減り、
飼い主の緊張が減ることで、愛犬にも伝わるものが変わる。

それを実感した道具のひとつです。

ハズバンダリートレーニングを通して、「愛犬だけを変えようとするのではなく、こちら側のやり方や環境も見直してみる」
そう考えるようになった私にとって、この爪切りとの出会いも、我が家に合った形を探すひとつのきっかけになりました。

我が家で「これ、すごい!」となった “ 猫壱 ” の爪切り

猫壱の商品概要はこちら →

「イヤ」を「イヤじゃないかも」に変えていくには、正しいやり方で行動を変えようとするより、日常の中に自然に溶け込ませる方が、我が家には合っていました。

同じように見える関わりでも、飼い主側のほんの少しの意識の違いで、愛犬への伝わり方は変わるのだと思います。

うまく言葉にしきれない感覚ですが、どなたかの小さなヒントになれば嬉しいです。

ぼくたちには、歯磨きや爪切りが「なぜ必要なのか」を理解するのはむずかしいんだ。
だからこそ、まわりの環境や飼い主さんの関わり方が、ぼくたちの行動にとても繊細に影響しているんだよ。

毎日の暮らしの土台が「安心」でいっぱいになると、困った行動にまで発展することも、少しずつ自然に減っていったよね。

この記事は、いち飼い主としての私の体験談と主観で書いています。
特定の方法や取り組みを否定したり、誰かを責める意図はありません。
ひとつの体験談として受け取ってもらえたら幸いです。

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