
犬のしつけスクールで違和感を感じたとき、その感覚は見過ごさない方がいいのかもしれません。トレーニング方法を変える決断に至った実体験を綴ります。
飴と鞭のトレーニングを受けていた頃、
私が見落としていたことのひとつに
“愛犬の表情や様子”がありました。
トレナーさんの前ではパッと指示を聞く愛犬。
この目の前で起きているその変化の土台には
信頼関係が出来上がっているのだろうか?
そう疑って見ても良かったかも知れません。
当時の私はうっすら感じていた違和感に蓋をし、
目の前の愛犬の様子ではなく、
トレーナーさんのやり方を習得することを優先していました。
あの時感じていた違和感は
間違っていなかったと確信しています。
飼い主の判断で道が変わってしまった失敗談です。
こんな方に読んでほしい
・トレーナーの指導に違和感を覚えながらも、このままで良いのか悩んでいる方
・愛犬がトレーナーの前では指示を聞くのに、家ではうまくいかないと感じている方
・犬のしつけで「本当にこの方法でいいの?」と迷っている飼い主さん
スクールを変えた理由
トレーニングを始めて半年ほど経ったころ、
いわゆる「問題行動」と呼ばれる困った行動が、
少しずつ確実に増えていました。
それでも当時の私は
この状況を“悪化”と捉えずに、
むしろ、早く改善させる為には
“もっと通いやすくて”
“もっと回数を増やし”
“もっと一生懸命に…”
飼い主のわたしが頑張らないと治らない!
そんな思考に陥り、
更に通いやすいスクールにかえ、
“従えるコ”にするためのトレーニングに励んだのです。

苦手なことや困っている事が多かった愛犬に対して
“従えるコ”にして改善を目指すことは
かなり無理があったと今振り返って感じています。
なぜなら、もっと穏やかに、もっと自然に、
愛犬が安心して暮らせる提案をすることで
お互いが暮らしやすい日常を手に入れることができると
後になって知ったからです。この失敗した経験が、
何かのヒントになるとうれしく思います。
二人目のトレーナーとの出会い
新たなスクールを見つけて
はじめてのカウンセリングを受けた時のことです。
その場で、トレーニングにおすすめされた犬具は
チョークチェーンでした。
当時トレーニングで使っていた
スリップリードや首輪での合図では、
「効き目が弱く、改善までに時間がかかりますよ」
と言う説明でした。
当時の私は、
スリップリードの方が“やさしい”イメージがあり、
チョークチェーンの使用には抵抗がありました。
そのため、「できれば使いたくない」と申し出ました。
スリップリードもチョークチェーンも
どちらも無限に絞まるタイプの犬具です。
トレーニングが逆効果になったはなしにも書いたように
現在の私は過去の私へどちらの犬具も使用をおすすめできません。
するとトレーナーさんは
「では、褒めて伸ばす方法で行いましょう。
時間はかかるけれど、できますよ。」
その言葉に安心し、
私はこのスクールに依頼することにしたのです。
トレーナーさんは初対面のその日に
飼い主である私から少し離れた場所へ愛犬を誘導し、
・どの程度指示を聞けるのか
・おやつを使ったトレーニングが可能か
一頭ずつ確認した後に、こう提案されたのです。
当時1歳半くらいだった
「下のコを中心にトレーニングしていきましょう。
上のコは時間がかかりそうなので
下のコのトレーニングで覚えたことを
ご自身で行ってみてください」と。
このときの私は
既に半年もの間、時間とお金をかけているのに、
何も変わっていない現実を思い浮かべていました。
そしてふと、
“費用を少し抑えられるかも知れない”
そんな思いも頭をよぎり、
その提案を了承したのです。
「褒めて伸ばす」と言われたトレーニングの実態
指示を聞けるコにすることや、
上下関係を重視した方法を軸にしたスクールでは、
“褒めて伸ばす”だけでトレーニングを完結させるのは
難しかった…のかも知れません。
大きく褒めてくれる場面も、もちろんありました。
しかし回を重ねるにつれて、
「ダメな行動はしっかりダメ!と伝える必要があります」
そう言われるようになり、
困った行動が多かった愛犬に対して
嫌悪刺激で行動を止め、言い聞かせる方法が
徐々に増えていきました。
つまり、
褒めて伸ばす場面と、嫌悪刺激で止める場面の割合が
少しずつ変わっていったのです。
嫌悪刺激を使えば、
確かに行動を止めることは簡単です。
だからこそ、
その方法に慣れていることで、
褒めるだけで困った行動を改善させることは
難しいと言うのかも知れないです。
これは、トレーナーだけでなく
飼い主である私自身も陥ってしまう可能性があったと
感じています。
そんな風に思い始めた矢先、
私の中で疑問が大きくなり
決定的に違和感が大きくなる出来事が目の前で起きたのです。
トレーナーさんは
常にハンドラーに注目させ横について歩かせる。
を、とても簡単にやって見せてました。
けれどその様子見て
私はふと、こう聞いていました。
「愛犬は、先生を怖がっていませんか?」
するとトレーナーさんは、こう答えました。
「怖がっているのでありません。
緊張し注目しているのです。
そうすれば、他の刺激に左右されることにはならないのです。」
確かに、そうなのかもしれない…。
突進することや爆吠えをやめさせたかった私は、
「怖がっているから緊張し注目している」と
自分の直感と目に見えている様子を結びつける事ができませんでした。
そして、
言われた言葉の通りに解釈をすり替え、
本当は感じ取れていた
目の前の愛犬の様子に蓋をしてしまったのです。
そんなとき、
嫌悪刺激がエスカレートしていたトレーナーさんは、
歩くのを嫌がり座り込んだ愛犬を見て、
「ここで甘やかしてはいけないのです」と言いながら、
ズルズルと愛犬を引きずって歩いて見せたのです。
困惑している私の表情に気付いたのか、
トレーナーさんはこう言いました。
「ここを乗り越えれば、
犬たちも飼い主も楽になるんです。
ここを泣きながら乗り越えた飼い主さんもいますよ。」
その言葉は、私にとって衝撃でした。
ドックトレーニングとは何なのか。
我が家にとって何が正解なのか。
何もかもわからなくなり
苦しさだけが残る体験になっていきました。
そして後になって知った言葉があります。
ー学習性無力感ー
このまま続けていたら
愛犬はそこに向かってしまっていたのかも知れません。

愛犬に諦めさせる。過去の私は吠える事を諦めてくれたらそれでいいと思っていました。ですが、この学習性無力感という言葉を知った時、目に余る手法ではなくとも、犬たちに諦めさせるトレーニング方法がとても多く、参考にしていたこともあり、見誤っていたと痛感しています。
行動を支配して抑え込む方法を続け、
さらに強めていくことが、どれほど危険な判断だったか。
今になって強く感じています。
我が家の場合、
この方法は更なる行動の悪化につながり、
このあととても長い時間をかけて向き合うことになりました。
ですがもし、あのまま
学習性無力感に陥らせてしまっていたら、
愛犬の心の状態に気づくことすら
できなかったかも知れません。
そう思うと、
諦めず行動を通して訴え続けてくれた愛犬に
今は感謝しています。
合同トレーニングで見えた違和感
ドックトレーニングとは何なのか。
困った行動は改善されない。
何かが違う気がする。
点と点がつながらないまま、
暗いトンネルの中にいるような感覚だった私は、
個別トレーニングを一度お休みし、
周りを観察するために
合同トレーニングへ参加しました。
そこで私の目に映ったのは、
さまざまな様子を見せる犬たちでした。
先生の目を盗んで
周囲に牙を見せ威嚇しているコ。
先生が「おいで」と手を伸ばすと
飼い主の影に隠れてしまうコ
伏せたまま上目遣いで、
どこか呆れたように周りを見渡しているコ。
ドキドキした様子で順番を待っているコ。
そしてもちろんその中には、
「楽しい〜!」とワクワクしているコも
いたのかもしれません。
帰り際、先生にこう聞かれました。
「はじめて合同トレーニングに参加されて、どうでしたか?」
私はそのとき、
言葉に詰まってしまったことを今でも鮮明に覚えています。
犬たちの様子以上に、
目の前で行われる先生のレクチャーに視線が集まり、
愛犬たちと飼い主たちの
どこか噛み合わない温度差を
はっきりと感じてしまったからです。
この時目にした情景は、
今でも忘れられない出来事になりました。
私はこれまで、
何度も愛犬の様子を読み違えたり、
自分に都合よく解釈をすり替えてしまっていたと気付き、
この時の実体験から見えた光景がずっと心の奥にあり
行動だけを見るのではなく、
背景も含め観察し理解し、正しく汲み取ること。
その大切さに、
気づくことができたのだと思っています。
まとめ
犬のしつけで感じる小さな違和感は、
決して見過ごしてよいものではないのかもしれません。
当時の私は、
トレーナーさんの指導を信じることに必死で、
目の前にいる愛犬の表情や様子よりも
「正しいトレーニング方法を覚えること」を優先していました。
しかし今振り返ると、
愛犬は行動を通して何度もサインを出してくれていたのだと思います。
犬のしつけやドッグトレーニングには
さまざまな方法がありますが、
どんな方法であっても大切なのは
愛犬の状態をよく観察し、
そのコに合った関わり方を見つけることでした。
今回お伝えした体験は、
トレーニング方法を変える決断をするまでの
私の失敗と迷いの記録です。
同じように
「犬のしつけで違和感を感じている」
「この方法で本当に大丈夫なのか悩んでいる」
そんな方にとって、
少しでも考えるきっかけになれば嬉しく思います。

褒めて伸ばすって人間の子育てにも推奨されているよね。

嫌悪刺激は嫌な思いをするだけ。若いあたちの方が簡単に言う事をききそうって思われがちだけど穏やかに暮らすことを目指すのに、年齢は関係なかったよね。
この記事は、いち飼い主としての私の体験談と主観で書いています。
特定の方法や取り組みを否定したり、誰かを責める意図はありません。
ひとつの体験談として受け取ってもらえたら幸いです。



コメント