
「とにかく、この吠えを止めたい!!」
愛犬の爆吠えや突進に困り果てていた頃、
私が探していたのは、
できるだけ早く行動を変えてくれそうな専門家でした。
人気がある。
ほかの犬はできている。
トレーナーさんがリードを持てば、犬の行動がパッと止まる。
当時の私には、それが「良いトレーニング」に見えていました。
けれど、専門家をどう選ぶか以前に、
愛犬の行動をどう捉えているか――
飼い主である私自身が、大きな鍵を握っていたことに気づいたのです。
この記事では、専門家探しで遠回りした私が、
その途中で何を見落としていたのかを、実体験をもとに振り返ります。
※この記事は、いち飼い主である私の体験と主観をもとに書いています。特定のトレーナーさんやトレーニング方法を否定するものではありません。
「吠えを止めたい」が強すぎて見えなくなっていたこと
愛犬の「困った」より、自分の「困った」を優先していた
当時の私は、愛犬が怖がりだとわかっていました。
それなのに、
「飼い主の指示を聞けるようになれば大丈夫」
「我慢することも覚えなければいけない」
「無駄に吠えるのをやめさせなければ」
そんなふうに考えていました。
目の前にいる愛犬が何を感じているのかよりも、
「どうしたら吠えなくなるのか」という結果ばかりを見ていたのです。
だって、本当にものすごく吠えていたから。
散歩に出れば突進し、犬を見れば爆吠えする。
毎日の暮らしの中で困り果てていた私は、
まず吠えを止めなければ、何も始まらないと思っていました。
けれど、実際はその順番が逆だったのだと思います。
吠えを止めようとする前に、
「なぜ、このコはこれほど吠えているのだろう」
「どんなときに不安が大きくなるのだろう」
「今の環境や関わり方に、負担になっているものはないだろうか」
そこから考える必要があったのです。
困った行動だけを早く消そうとすると、
愛犬が出している大切なサインまで見えにくくなることがあると感じています。
これは、あの頃の私に一番伝えたいことです。
検索結果やSNSの印象だけで決めないで

私が最初に検索していた言葉
昭和世代の私が、当初使っていた検索キーワードは、
「犬の無駄吠え」
「犬の問題行動」
「犬のしつけ」
「ドッグトレーナー」
といったものでした。
今振り返ると、この時点で私は、
愛犬の行動を「 直すべき問題 」として見ていたのだと思います。
そのため検索結果にも、
吠えを止める方法や、犬を従わせる方法が多く表示されました。
そしてSNSで、かわいいあのコたちも通っているスクールを見つけ、
間違いなく人気がある。
投稿されている犬たちは、トレーナーさんの合図ですぐに行動を止めている。
それが当時の私には、とても心強く見えました。
「 ここなら、うちのコも変えてもらえるかもしれない 」
期待を膨らませ、トレーニングを始めたのを覚えています。
SNSで見えるのは、その時間のほんの一部
今なら、SNSに投稿されているものは、
長い時間の中から選ばれた一部分だとわかります。
私自身もSNSに投稿するときは、
できれば素敵に見える写真や場面を選びます。
それが悪いということではありません。
ただ、その投稿だけでは、
犬がその前後にどんな様子だったのか
緊張していなかったか
その方法がその犬に本当に合っていたのか
普段の生活ではどのような変化が起きているのか。
そこまではわかりません。
検索やSNSが、専門家を知るきっかけになることはあります。
けれど、
フォロワー数が多いこと
人気があること
トレーナーさんが犬を上手に動かしているように見えること
それだけで、わが家の愛犬に合っているとは限りませんでした。
過去の私には、
ほかの犬ではなく、目の前の愛犬の表情をよく見て。
そう伝えたいです。

検索🔍キーワードって良くも悪くも履歴が連動してしまい
同じような情報が入りやすいことも注意すべきでした。
そのためある意味、限られた検索結果の中で
昭和世代の私が期待を膨らませた先は、
トレーナーさんがリードするとパッと行動が止む
間違いなく“ 人気 ” のスクールだったのです。

人気があることと、その方法が合っているかは別だよね。
フォロワー数や、トレーナーさんの立ちふるまいより
わたしたちの表情をみてるとわかるかもしれないね。
その場で行動が止まることと、安心できることは別だった
当初私が選んだスクールでは、
トレーナーさんがリードを持つと、犬の行動がパッと止まりました。
当時の私は、それを見て、
「すごい」
「さすが専門家!」
「私も同じようにできるようにならなければ」
そう思っていました。
けれど、その場で動かなくなったことと、
愛犬が安心して穏やかにいられることは、
同じではありませんでした。
我が家の場合は、当時のトレーニングを続けても、
吠えや突進はなかなか改善しなかったのです。
日常の散歩では突進を繰り返し、
そのたびにスリップリードが首を締めつけることも何度もありました。
「できたね」と褒める場面より、
「NO!」と止める場面の方が増えてしまい
愛犬も苦しかったと思います。
けれど当時の私は、
「まだ練習が足りない」
「私のやり方が悪い」
「もっとしっかり伝えなければ」
そう思い、さらに頑張ろうとしていたのです。
一度信じた方法に違和感を覚えても、
途中で立ち止まるのは簡単ではありませんでした。
お金も時間もかけている。
専門家の方が教えてくれている。
周りの犬はできているように見える。
だから、うまくいかない原因は自分にあると思ってしまったのです。
続けるほど愛犬の表情がかたくなっているなら、いったん立ち止まっていい。
吠えや突進が強くなっているなら、「もっと頑張る」以外の選択肢も考えていい。
専門家にお願いしたからといって、
飼い主が感じた小さな違和感まで無視しなくてよかったのです。
今の私なら使用をおすすめしないスリップリードについて
私の経験から、なぜ使用をおすすめできないと思うようになったのか。
別の記事でまとめています。
検索する言葉が変わると、見える情報も一変した
トレーニングを続けてもなかなか改善せず、
私は少しずつ考えるようになりました。
「本当に、これでいいのかな」
「愛犬はどう感じているのだろう」
「言葉を話せないこのコたちの気持ちを…知りたい。」
「吠えを止める方法」ばかりを探していた私は次第に、
「犬が吠える理由」
「犬の気持ち」
「犬の行動の仕組み」
「犬に負担をかけない関わり方」
といった言葉でも調べるようになりました。
すると、これまでとは違う情報が目に入るようになり、
隣県で開催されていた
飼い主の在り方や行動の仕組みについて学ぶセミナーを見つけたのです。
行動の仕組みを理解して行うトレーニング方法との出会い

検索ワードを変えたことで大きな転機となった衝撃の事実
検索ワードが変わったことで見つけたセミナーをすぐに受講しました。
私はそこで初めて、犬の行動の仕組みについて知り、
講義を聞くうちに私の胸はざわつきはじめ、
口を開けたまま、ペンを持つ手が止まったのです。
ー 嘘でしょ…。
このときに愕然とした気持ち。今でもはっきりと覚えていて、
このブログを始めた根底にあるきっかけになっています。
良かれと思って繰り返していたことが、
結果として吠えや突進を強めていた可能性があること。
愛犬が無駄に行動していたのではなく、
その行動を繰り返すだけの理由があったこと。
これまで上下関係にこだわったトレーニングにかけた時間を思い、深く後悔しました。
そして、悪化してしまった愛犬の姿を思うと、
とても苦しく、辛い気持ちになりました。
科学的な視点から行動の仕組みを考えてみると、
なるほど確かに!
これまで腑に落ちなかった多くのことがつながっていきました。
行動の仕組みを理解できるようになっていくにつれ、
問題行動に発展した理由がかなり明確になり、
“ これさえ知っていたら改善する未来しかない! ”
私は、また強く意気込みました。
そう。
またしても、です。
行動の仕組みについて
犬が苦手で吠える理由|行動の仕組みを知った時の衝撃で
少し触れています。ですが、
ひとつの問題に対して多くの事が関係している場合が多く
詳しい方法については、学び続け、新しい情報を取り入れている専門家の方を頼ることをおすすめします。
やさしい方法なら、すべてうまくいくと思っていた
行動の仕組みを学び、
NO!で伝えることを中心にした方法から離れたことで、
我が家の暮らしは以前よりずっと穏やかになりました。
一年ほどたつ頃には、
愛犬との生活がぐっと楽になったと感じていました。
科学的な根拠に基づいて行動を見るという考え方に出会えたからこそ、
それまで持っていた古い常識を手放せた部分もあります。
私たちにとって、とても大きな転機でした。
けれどその後も、
時々、同じところをぐるぐる回っているように感じることがありました。
やさしい方法を選んでいる。
行動の仕組みも学んでいる。
それでも、一部の困りごとが強くなってしまうことがある。
その経験から私は、やり方の正しさだけではなく、
そのコの心身の状態
暮らしている環境
休息や睡眠
刺激の量
飼い主との日々の関わり
犬自身が選べる余地
そうしたことも一緒に見る必要があると気づくようになっていったのです。

「ポジティブ」という言葉だけでは判断できなかった
私が科学的な根拠に基づく、
犬にできるだけ負担をかけないトレーニングに出会ったことは、
我が家にとって大きな転機でした。
けれど、その後さらに学ぶ中で、
もうひとつ気をつけたいと感じることがありました。
それは、同じように「ポジティブトレーニング」や
「褒めるトレーニング」と紹介されていても、
実際の方法や考え方は、専門家によって異なるということです。
また、おやつや褒める言葉を使っていても、
一方で、犬が嫌がる刺激や強い合図を使う方法が
取り入れられている場合もあります。
もちろん、何をポジティブと呼ぶのか、
どこまでを犬への負担と捉えるのかについても、
専門家によって考え方は違うのだと思います。
だから私は今、
「ポジティブと書いてあるから大丈夫」と、
言葉だけで判断しないようにしています。
実際にどのような道具を使うのか。
犬が望まない行動をしたとき、どのように対応するのか。
犬が怖がったり、その場から離れたがったりしたとき、
そのサインをどう受け止めるのか。
トレーニングを始める前に確認しておきたい部分であり、
何か違和感を感じた時は、一旦立ち止まることも必要だと感じています。
飼い主も新しい情報を知りにいく必要があった
専門家にお願いすれば、
その方から必要なことをすべて教えてもらえる。
以前の私は、どこかでそう思っていました。
けれど現状では、
犬との関わり方に対する考え方や、
専門家の方それぞれが学んできた内容にも違いがあります。
犬の行動や感情、心身への負担についても、
新しい研究や情報が少しずつ増えています。
そのため、飼い主自身も、
新しい情報を知ろうとする必要があると感じています。
これは、専門家を疑い続けるということではありません。
すべてを飼い主だけで判断し、
ひとりで抱え込むということでもありません。
専門家の知識や経験を頼りながらも、任せきりにせず
愛犬の一番近くにいる飼い主も、
新しい情報を知り、一緒に考えていく。
そのために、飼い主側に
新しい情報を知る機会が必要なのだと感じています。

飼い主自身の「見る目」も、専門家選びに影響していた
ここが、専門家探しの難しいところだと思います。
専門家の方が愛犬を見てくれていても、
その行動をどう捉えるかは、それぞれの考え方によって違うことがあります。
そして、飼い主である私自身の捉え方も、どんな専門家とつながり、どんな方法を選ぶのかに大きく影響していたと感じています。
当時の私は、愛犬の行動を
「怖いのかもしれない」
「困っているのかもしれない」
と見るより、
「上下関係ができていない」
「飼い主の指示を聞いていない」
と「やめさせるべき行動」なのだと捉えていました。
だから、その考え方を説明してくれる専門家の言葉は、
当時の私にはとても納得できるものだったのです。
今振り返ると、専門家を選ぶことは、
ただ「良い先生を探す」だけではないのだと思っています。
飼い主自身が愛犬を観察し、
表情や体の変化、その行動が起きる前後まで見ながら、
「今、このコはどう感じているのだろう」
「もしかしたら、困らせていないか」
と、人から見ればやさしい方法であっても、一度立ち止まって考える。
そんなふうに愛犬を見るようになってから、
我が家では少しずつ改善が進んだと実感しています。
専門家の説明を聞いたときにも、
「私が見て感じている愛犬の様子と、この方の見立ては近いだろうか」
と考えられるようになり、
もし見立てに違いがあったとしても、
その違いについて話し合い、すり合わせていける方なのか。
そこも、今の私が専門家とつながるうえで大切にしたいところです。
飼い主である私自身が、愛犬の様子や行動をどう捉えるか。
良いとされる方法であっても、
“今のこのコにとってどうなのか”を見続けること。
そこが、その後の関わり方を左右する大切なポイントだったと感じています。
素敵な専門家とつながった、その先は
愛犬の困った行動に悩んでいるときは、
できるだけ早く答えがほしくなります。
私もそうでした。
遠回りをしたからこそ、
今では「この方に相談したい」と思える素敵な専門家の方々ともつながることができました。
でも、信頼できる専門家の方に出会えたら、
そこで飼い主が考えなくてよくなるわけではないのだと感じています。
専門家の方から教えてもらった知識や方法を、
「これは、上のコには合いそう」
「これは、下のコには今はまだ負担かもしれない」
「今のわが家は、こちらを選ぼう」
そんなふうに、我が家の場合や愛犬それぞれに合わせて取捨選択していく。
最近は、それこそ飼い主の大切な役割なのだと感じています。
なんだか、子育てと似ていますね。
子育ても、先生や専門家、周りの人からいろいろな考え方を教えてもらいながら、
最後はその家庭、その子に合わせて選んでいくものだと思います。
犬との暮らしも同じなのかもしれません。
誰かの「正解」をそのまま当てはめるのではなく、
専門家の知識や経験をありがたく借りながら、
目の前にいるこのコを見て、考えて、選んでいく。
それが今の私にとっての、
「犬育て」
なのだと思っています。

ぼくたちがどう感じているか、少しずつ分かってもらえるようになって、困ることが減ったよ。前よりずっと過ごしやすくなったんだ。

吠えなかったかどうかだけじゃなくて、ちょっと困ってるお顔にも気づいてね。
この記事は、いち飼い主としての私の体験談と主観で書いています。
特定の方法や取り組みを否定したり、誰かを責める意図はありません。
ひとつの体験談として受け取ってもらえたら幸いです。



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